高齢になると、犬は往々にして食事への関心を失います。これは飼い主にとって気がかりなことです。
犬の味覚は年齢と共に鈍化し、食欲が減退するため、適切な栄養補給が必要になります。
この記事では、食事を拒否しがちな高齢犬のために、食欲を引き出すための工夫を9つ紹介します。
高齢犬の食事のポイントを学び、健康を支えましょう。
高齢犬の食欲減退の主要因
高齢犬では、身体機能の衰えにより食欲が低下することが一般的です。食欲低下の主な原因は以下の通りです。
- 味覚の衰え
- 嗅覚の減退
- 嚥下機能の低下
- 消化能力の全体的な低下
- 基礎代謝の低下による運動不足
- 口腔内の問題
- 心身の調整力の低下
高齢犬に食事を与える際は、無理に食べさせず、体重の減少を注意深く見守りながら、適切な量を提供することが重要です。
無理に食べさせると消化不良や食事拒否を引き起こす可能性がありますので、犬のペースを尊重しましょう。
高齢犬の食事拒否への対応策9選
高齢犬が食事を拒否する際に試すことができる、9つの対策を紹介します。
フードの温度を調整して香りを強化
フードを温めると、香りが増して高齢犬の食欲を刺激することができます。
電子レンジや湯煎で加熱する方法がありますが、フライパンで炒めるとさらに香りや食感を向上させることができます。
ただし、熱すぎると火傷のリスクがあるため、適切な温度に冷ますことが大切です。
フードに香り豊かなトッピングを追加
フードにトッピングを加えることで、嗅覚を刺激し食欲を増進させることができます。
チーズやかつお節、ジャーキーなどの香りの強い食材が効果的です。
トッピングする際は、フードの量を調節して全体のバランスを保ちましょう。
フードの柔らかさを調整
消化能力が低下したり歯が弱くなったりしている高齢犬のために、白湯でフードを柔らかくすると食べやすくなります。
出汁や犬用スープでフードを柔らかくする方法もあります。
柔らかくすることで、水分摂取も促進され、脱水防止に役立ちます。
やわらかいフードへの変更
年を重ねるとドライフードを食べにくくなることがあります。これは口の乾燥や歯の衰えが原因かもしれません。
セミモイストフードやウェットフードのように水分を多く含むフードに切り替えることで、食べやすさが向上し、食欲が戻ることがあります。
家庭で作る柔らかい食事
歯や歯茎が衰えている高齢犬のために、自家製の柔らかい食事を作ることも一つの選択肢です。
ただし、手作り食事の栄養バランスは崩れやすいため注意が必要です。
ビタミン、ミネラル、タンパク質、カルシウムなどの栄養素の過剰摂取は避け、通常のドッグフードと併用することを推奨します。
甘いおやつで食欲を促進
甘みを好む犬には、サツマイモやバナナなどの甘く香りの良い食材が喜ばれます。
好きなおやつを与えることで食欲を刺激することができますが、人間用の食べ物は避け、犬用の食材を選ぶことが重要です。
また、おやつの過剰摂取は肥満を招く可能性があるため、通常のフードとバランスを取ることが大切です。
食事のサポート方法
高齢犬が食事を床で取るのが困難になった場合、食事台を使って高さを調整することで食べやすくなります。
また、嚥下力の衰えが心配される場合は、柔らかいフードをシリンジで与える方法も有効です。
運動とマッサージでリラックスを促す
高齢犬が食事を拒む原因として、筋力の低下や運動不足が考えられます。
軽い散歩やマッサージを行うことでリラックスさせ、食欲を促進することが期待できます。
食事が取れない場合の対策
食事を摂らない場合は水分補給が重要です。
スポイトで水分を少しずつ与えるか、湿らせたガーゼで口を拭いて脱水を防ぎます。
食事を全く受け付けない場合は、速やかに動物病院で診察を受けることが勧められます。
高齢犬の食事管理のポイント
高齢犬の食事は、その健康状態や年齢に応じて適切に調整することが必要です。
犬の食事を観察し、必要に応じて食事の種類を変更します。
食事変更時の注意点は以下の通りです。
- 食事を変更する前に獣医師に相談する
- 犬の年齢に合わせた食事を選択する
- 栄養バランスが良く、栄養価の高い食事を選ぶ
- 食べやすさを重視する
- 新しい食事を徐々に慣れさせるため、現在の食事に少しずつ混ぜる
- 肥満に注意する
食事摂取の問題が見られる場合、健康上の懸念がある可能性があります。
犬に適した食材や栄養素の選択に関しては、獣医師のアドバイスを受けることが重要です。
高齢犬の食事調整と給餌の段階的見直し
高齢犬は、年齢に応じて異なるライフステージを経験し、各ステージに適した給餌量と回数の調整が必要です。
高齢犬のステージ別給餌戦略
初期シニア期の食事調整
この時期は日常生活や食事量に大きな変化はありませんが、代謝の低下が始まります。
被毛や鼻の色の変化が見られることもあります。
中期シニア期の食事分割
日常生活でのサポートが増える時期で、目の白濁や白毛が目立ち、床での食事が難しくなります。
後期シニア期(ハイシニア)の小量給餌
常時介護が必要となるこの時期は、食欲低下や体重減少、飲み込むのが難しくなるなどの問題が生じます。
自力での食事が困難になるため、小量を複数回に分けて提供することが重要です。
高齢犬のステージごとの給餌ガイドライン
高齢犬の食事では、各ステージに応じて適切な給餌量と回数を考慮することが大切です。
無理に食べさせず、犬が食べたいときに提供することが基本です。
給餌量と回数の目安
- シニア1期:1日のドッグフード推奨量を2~3回に分けて提供
- シニア2期:食事量が残る場合は1回あたりの量を減らし、3回に分けて提供
- シニア3期:食べられる量に合わせ、少量を3~5回に分けて提供
フードのパッケージに記載されている給餌量は一般的な目安ですが、個々の犬の活動量や健康状態に応じて適切な量を見極めることが推奨されます。
1日のドッグフード給餌量の算出方法
基礎代謝量の計算
基礎代謝量は、愛犬の体重(㎏)の0.75乗に70を乗じた数値です。
※体重を3回掛け合わせた後、平方根(√)を2回取る方法
必要な日々の摂取カロリーの計算
日々必要な摂取カロリーは、基礎代謝量に係数1.2(避妊・去勢済みのシニア犬用)または1.4(手術なしの場合)を掛けたものです。
1日のドッグフードの給餌量計算
1日に必要な摂取カロリーをドッグフードの100g当たりのカロリー量で割り、その結果に100を掛けます。
フードのパッケージに記載されているカロリー量を参照してください。
※計算結果はあくまで目安であり、犬の健康状態に合わせて量を調整することが重要です。
高齢犬の食事管理のポイント
高齢犬が食事を敬遠する主な原因は、年齢に伴う味覚や嗅覚の低下、消化器官の機能低下、ストレスです。
犬の自然なペースに合わせて食事を提供し、体重減少が見られる場合は食事の工夫が必要です。
食事を温めたり、柔らかくしたりすること、食事台を使用して食べやすい高さに調整することが効果的です。
食事の変更時には、獣医師に相談し、犬のシニアステージに適した給餌量と回数を考慮することが望ましいです。
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