愛犬の毎日の食事で欠かせないドッグフードには、様々な形や提供方法があります。
中でも特に注目すべきは、缶やパウチに密閉されたウェットドッグフードです。
この種のドッグフードは、高い水分率と特有の強い香りが特徴です。
ドライフードと比べても、より好まれる傾向にあり、未開封なら室温での長期保存も可能です。
ところで、「ウェットドッグフードはどうして室温で保存できるのか?」と疑問に思うこともあるでしょう。
この記事では、そんな疑問にお答えします。
ウェットドッグフードが室温で保存できる理由
ウェットドッグフードが室温保存可能なのは、徹底した滅菌処理がなされているからです。
食品の劣化の原因
食品が劣化する主な原因は、空気中の酸素と結合することで起こる「酸化」と、水分や栄養を利用して微生物が増える「腐敗」です。
普通、食品を室温で保管すると、酸化と腐敗が同時に進みます。
これを防ぐためには、食品を密閉容器に入れて空気に触れさせないか、冷蔵庫で微生物の活動を抑えることが必要になります。
ウェットドッグフードの容器の特徴
ウェットドッグフードが入っている缶やパウチに注目すると、これらは空気や微生物が入らないように作られています。
さらに、光を遮る加工も施されているため、酸化や腐敗が少なくなっています。
缶詰やパウチの製造過程
缶詰とパウチを作る工程を見てみましょう。
これらは、空気を抜いて密閉し、加熱して殺菌する工程を経て作られます。
このため、室温で保存しても酸化や腐敗が進みにくくなっています。
1. 原材料の搬入
原材料が工場に届きます。
2. 原材料の前処理
生の原材料についた汚れや異物を洗い落とし、利用する部分を選びます。
この作業の大部分は機械で行われ、迅速に進められます。
3. 異物除去の徹底した検査
充填工程の直前に行う最終品質チェックでは、缶やパウチへの充填前に改めて検査が実施されます。
この段階で異物の有無も確認されます。
4. 充填後の空気除去と密封作業
原料は規定の量に応じて計量され、缶やパウチに充填されます。
その後、密封前に空気を抜く工程があります。
この理由は以下の通りです:
- 加熱殺菌中に容器内の空気が膨張して缶の形状変形や破裂を防ぐため
- 缶内部の腐食を避けるため
- 酸化を防ぎ、味や色、香り、栄養価の変化を抑制するため
これらの理由から、ウェットフードは慎重に空気を抜いた後、密封されます。
5. 殺菌と冷却の重要工程
ウェットフード製造のキーポイントは殺菌と冷却工程です。
密封された缶詰やレトルトパックは、圧力釜で加熱殺菌されます。
これにより、細菌や微生物を除去し、長期保存が可能になります。
魚や肉、レトルト食品の場合は、高温で長時間殺菌する必要があります。
殺菌完了後は、品質の維持を目的として迅速に冷却されます。
6. 検査と包装の段階
完成した製品は多岐にわたる検査を受けます。
真空度が不十分な製品や、重量不足、過剰、形状の変形がある製品は選別除外されます。
過去には打検棒が使われていましたが、現在は自動機械による検査が行われます。
レトルト食品は金属探知機を用いて検査されます。
未開封ウェットフードの劣化を防ぐために
製造過程で生じる微小な隙間や穴が、製品の劣化原因となることがあります。
これを防ぐために、一定期間保管して異常がないかを確認します。
犬の健康と安全を第一に
ウェットフードは未開封状態であれば常温保存が可能ですが、開封後は酸化や腐敗が進みます。
そのため、開封後はできるだけ早く使用することが推奨されます。
使いきれない場合は、冷凍保存することで賞味期限を延ばすことができます。
まとめ
この記事では、ウェットドッグフード、特に水分量の多い製品の製造プロセスと保存方法について詳しく説明しました。
日常的に使用される缶詰やレトルトパウチのウェットフードは、安全性を保つために複数の工程を経ています。
生食材と比較すると栄養価の低下はありますが、腐敗リスクは少なく、新鮮な風味を追求するために技術が日々進化しています。
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